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「失楽園」についての聖書
主なる神は人を連れて来て、エデンの園に住まわせ、人がそこを耕し、守るようにされた。主なる神は人に命じて言われた。 「園のすべての木から取って食べなさい。ただし、善悪の知識の木からは、決して食べてはならない。食べると必ず死んでしまう。」(創世記2.15~16) 続いて創世記第3章全部、書き写す。 主なる神が造られた野の生き物のうちで、最も賢いのは蛇であった。蛇は女に言った。 「園のどの木からも食べてはいけない、などと神は言われたのか。」 女は蛇に答えた。 「わたしたちは園の木の果実を食べてもよいのです。でも、園の木の中央に生えている木の果実だけは、食べてはいけない、触れてもいけない、死んではいけないから、と神様はおっしゃいました。」 蛇は女に言った。 「決して死ぬことはない。それを食べると、目が開け、神のように善悪を知るものとなることを神はご存じなのだ。」 女が見ると、その木はいかにもおいしそうで、目を引き付け、賢くなるように唆していた。女は実を取って食べ、一緒にいた男にも渡したので、彼も食べた。二人の目は開け、自分たちが裸であることを知り、二人はいちじくの葉をつづり合わせ、腰を覆うものとした。 その日、風の吹くころ、主なる神の顔を避けて、園の木の間に隠れると、主なる神はアダムを呼ばれた。 「どこにいるのか。」 彼は答えた。 「あなたの足音が園の中に聞こえたので、恐ろしくなり、隠れております。わたしは裸ですから。」 神は言われた。 「お前が裸であることを誰が告げたのか。取って食べるなと命じた木から食べたのか。」 アダムは答えた。 「あなたがわたしと共にいるようにしてくださった女が、木から取って与えたので、食べました。」 主なる神は女に向かって言われた。 「何ということをしたのか。」 女は答えた。 「蛇がだましたので、食べてしまいました。」 主なる神は、蛇に向かって言われた。 「このようなことをしたお前は あらゆる家畜、あらゆる野の獣の中で 呪われるものとなった。 お前は、生涯這いまわり、塵を食らう。 お前と女、お前の子孫と女の子孫の間に わたしは敵意を置く。 彼はお前の頭を砕き お前は彼のかかとを砕く。」 神は女に向かって言われた。 「お前のはらみの苦しみを大きなものにする。 お前は苦しんで子を産む。 お前は男を求め 彼はお前を支配する。」 神はアダムに向かって言われた。 「お前は女の声に従い、 取って食べるなと命じた木から食べた。 お前のゆえに、土は呪われるものとなった。 お前は、生涯食べ物を得ようと苦しむ。 お前に対して 土は茨とあざみを生えいでさせる 野の草を食べようとするお前に。 お前は顔に汗を流してパンを得る 土に返るときまで。 お前がそこから取られた土に。 塵にすぎないお前は塵に返る。」 アダムは女をエバ(命)と名付けた。彼女がすべて命あるもの母となったからである。主なる神は、アダムと女と皮の衣を作って着せられた。 主なる神は言われた。 「人は我々の一人のように、善悪を知る者となった。今は、手を伸ばして命の木からも取って食べ、永遠に生きる者となるおそれがある。」 主なる神は、彼をエデンの園から追い出し、彼に、自分がそこから取られた土を耕させることにされた。 こういてアダムを追放し、命の木に至る道を守るために、エデンの園の東ケルビムと、きらめく剣の炎を置かれた。 書き写していて、「野の草を食べようとするお前に」というところは、ほとんど意識していなかったことに気づいた。この個所は、数知れないほど読み、実に多くの時間を費やして考えたところなのだが、そうなのである。 いわゆる「アダムとイブ」のことが書いてある所で、大変有名な所であり、多くの人たちが、その解釈に取り組んだところであり、いわゆる「原罪」を論ずるときにとりあげられるところでもある。 ミルトンの『楽園喪失』は、この個所を元に造られた文学作品である。 また、この個所をめぐってアウグスティヌスは『自由意志論』を書いた。そして、宗教改革者たちもこの個所を取り上げたのだった。 人気ブログランキングへ にほんブログ村
by kokakusouhachi
| 2016-07-09 19:13
| 随筆
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